救命救急センター
診療科の紹介
武蔵野赤十字病院は救急医療を重要な診療機能の柱と位置づけています。
当院救急センターは大きく分けて、救命救急センターと救急外来からなっています。
救命救急センターは生命の危機にさらされた重症傷病者や、全身管理を必要とする特殊な病態の方を対象としています。
集中治療施設ですので一般診療の受付はありません。
また各科のスタッフと協力して、救命救急専従医が核となって24時間体制で診療に当たっています。
主な傷病は、脳血管障害 (脳卒中) 、重症心疾患、重症呼吸不全、重症膵炎、肝不全、敗血症や多臓器不全、事件事故や労災などによる多発外傷、さまざまな中毒、ショックを伴う傷病、熱傷、窒息、溺水、環境異常 (熱中症、低体温症) 、心肺停止などがあげられます。
また適応がある場合は積極的に最新の治療法や、エビデンス (科学的医学的根拠) に基づいた医療、ガイドラインに基づいた医療を導入し、医療水準の向上と標準化を推進しています。 2023年度の救命救急センター総入院患者数は1,898名であり、平均在室日数は6.9日となっています。 より重症の患者さんを収容しているのと同時に、集中治療を必要としている方のために、常に病床を確保するよう努力しています。
認定施設
- 日本救急医学会 指導医指定施設
- 日本救急医学会 専門医指定施設
- 日本DMAT・東京DMAT指定施設
- 日本集中治療医学会 専門医研修施設
- 日本外傷学会 外傷専門医研修施設
スタッフ紹介
常勤医師数
15名
部長:原田 尚重 (はらだ なおしげ)
専門領域
- 救急全般、救急外科、集中治療、災害医療
資格等
- 日本救急医学会専門医
- 日本救急医学会指導医
- 日本救急医学会評議員
- 日本外科学会終身認定医
- 日本赤十字社東京都支部救護員指導者
- 日本赤十字社災害医療コーディネーター
- 日本救急医学関東地方会幹事
- JPTECインストラクター
- JPTEC関東世話人
- 災害派遣チーム (DMAT) 隊員 (厚生労働省医政局、東京都)
- 東京DMAT運営協議会委員
- 東京DMAT企画・調整小委員会委員
- 武蔵野市災害医療コーディネーター
- 東京都メディカルコントロール協議会 事後検証委員会委員
- 日本赤十字社看護師特定行為研修指導者講習会修了
- 全日本病院協会主催看護師特定行為に係る指導者リーダー養成研修会修了
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- 医学博士
副部長:原 俊輔 (はら しゅんすけ)
専門領域
- 救急全般、外傷、集中治療
資格等
- 日本外科学会専門医
- 日本救急医学会救急科専門医
- 日本救急医学会指導医
- 日本腹部救急医学会腹部救急認定医
- 日本救急医学会関東地方会幹事
- 日本DMAT隊員
- 東京DMAT隊員
- 医学博士
副部長:蕪木 友則 (かぶらき とものり)
専門領域
- 救急・外傷・救急外科
資格等
- 日本救急医学会救急科専門医
- 日本救急医学会指導医・評議員
- 日本集中治療医学会集中治療専門医・評議員
- 日本外科学会専門医
- 日本外傷学会外傷専門医・評議員
- 日本臨床救急医学会評議員
- 社会医学系専門医・指導医
- 日本航空医療学会航空医療医師指導者
- 日本Acute Care Surgery学会認定外科医
- FCCSコース修了
- 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
副部長:鈴木 秀鷹 (すずき ひでたか)
専門領域
- 内科、救急医療、集中治療
資格等
- 日本救急医学会救急科専門医
- 日本内科学会総合内科専門医・認定内科医
- 日本集中治療医学会集中治療専門医
- 迷走神経刺激療法に関わる講習会受講
- 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- ICLS WS director
- JMECCディレクター
- FCCSコース修了東京
- 東京DMAT隊員
医師:寺岡 麻梨 (てらおか まり)
専門領域
- 救急医療、集中治療
資格等
- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 日本救急医学会救急科専門医
- JATECコース修了
- JMECCインストラクター
- ICLSインストラクター
- 日本DMAT隊員
- 東京DMAT隊員
- 医学博士
医師:清水 剛治 (しみず ごうじ)
専門領域
- 救急、集中治療
医師:河口 拓哉 (かわぐち たくや)
専門領域
- 救急医療、集中治療、IVR治療
資格等
- 日本救急医学会救急科専門医
- 日本集中治療医学会集中治療専門医
- 日本DMAT隊員
- 東京DMAT隊員
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:神田 朋樹 (かんだ ともき)
資格等
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- 東京DMAT隊員
医師:渡辺 真那斗 (わたなべ まなと)
専門領域
- 救急
資格等
- 東京DMAT隊員
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- 日本内科学会認定JMECC修了
- 日本救急医学会認定ICLSコース修了
医師:松浦 暢孝 (まつうら のぶたか)
専門領域
- 救急
資格等
- 東京DMAT隊員
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:伊藤 慎一郎 (いとう しんいちろう)
資格等
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:古島 才 (こじま たえ)
専門領域
- 救急科
資格等
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:井上 祐希 (いのうえ ゆうき)
資格
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:後藤 彩花 (ごとう さやか)
資格
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:磯村 素微怜 (いそむら すみれ)
資格
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:吉井 恭平 (よしい きょうへい)
資格
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:長谷川 和洋 (はせがわ かずひろ)
専門領域
- 救急一般
医師:橋本 真佑 (はしもと しんすけ)
専門領域
- 救急
可能な検査・治療・器械について
救命救急センターは、現在全国で299ヵ所(令和4年4月現在)、東京都で28ヵ所ありますが、当院救命救急センターは昭和52年に全国に先駆けて、最初に指定を受けた東京都3ヵ所のうちの一つです。 特に生命にかかわる重症な急性傷病の方々に対して、その命を守る「最後の砦」、すなわち地域救急の要として国および東京都から特に指定された施設です。 平成11年4月に体制を一新し、救命救急医療を専門にした専任専従医を核に各科スタッフが協力し、設備施設を拡充させて、救命に必要な検査や手術が24時間できる体制を整えています。
救急専用の重症病床を28床(ICU8床、HCU20床)確保しています。 また重症者救急搬送用に特別に許可を得たヘリポートも病院屋上に設置し、多摩あるいは伊豆諸島、他県などの広域からの救急ヘリ搬送に運用しています。
ドクターカー
武蔵野赤十字病院では、令和2年10月1日よりドクターカー事業を開始しました。ドクターカー事業とは、みなさまが体調不良やケガをして救急車を要請した場合、消防庁の指令員が通報内容から重症と判断すると、救急車への出動指令と同時に当院にドクターカーの要請をします。要請が入ると、当院の救命救急センターの医師等がドクターカーにて出動し、現場や救急車内(病院への搬送中も)にて救急隊とともに診察し、必要に応じて医師にしかできない医療処置を行います。
東京都内においては、現在、救急隊がみなさまのところに着いてから病院到着までの間、平均約30分かかっています。そして、病院到着後、診察・治療が始まります。しかし、医師等がドクターカーで病院外に出動することによって、医師が診察・治療を開始する時間が早まり、みなさまの生命や機能の悪化を防ぎ、その改善が図れる可能性が高まります。短い時間ですが、この時間がとても大切になってきます。つまり、早期に医療介入を行い、みなさまの健康を守ることがドクターカー事業の目的です。
当院は地域中核病院として、地域から最も求められる機能の一つである救急搬送応需率の向上へ努めるとともに、ドクターカー事業の運営を通して地域医療へ貢献して参ります。
医師がドクターカーにて出動し、重症な状態に陥っているみなさまを診察・治療した場合、病院の受診(保険診療)と同様に医療費がかかり、みなさまにその一部をご負担いただくことになります。ご了承のほどよろしくお願いいたします。
*ドクターカー
出動時間:平日9:00~17:00
出動範囲:武蔵野市全域、小金井市全域、西東京市の一部、練馬区の一部
診療実績
本年度の実績
2023年の救命救急センターへの搬入及び院内急変などを含む総取り扱い件数は2,146例うち入院診療数は1.898例、対前年比+161例の増加、救命率71.6%。搬入数増加に伴い当科で扱う緊急手術も例年の50例前後から100例に増加した。疾患分類でみると【 ( ) 内は前年度増減数を示す】心肺停止208例 (-47) 外傷237例 (+36) 脳血管障害142例(-3) 循環器疾患188例 (-8) 呼吸不全234例 (+53) 感染症99例 (-12) 消化管出血107例 (+9) 急性腹症80例 (-9) 血管緊急症54例 (-14) 中毒86例 (+27) 意識障害47例 (-14) となっています。
また近年妊婦に特化した救急搬送、通称スーパー母体救命システムの運用も増加しており実際に則したシミュレーションを毎月開催し可能な限り応需できるよう産科との連携を密にしています。いっぽうで高齢者(75歳以上)の入室件数は全体の48.6%を占め(昨年度より1.2%増加)特に85歳以上の超高齢者も22.0%となっており日々高齢化社会の波を実感しています。救命救急医療といえども終末期医療を見据え、ひたすら救命‧延命をはかるのではなく全人的な医療を実践できるよう配慮しています。院内に対しては院内急変対応(院内ホット体制)も当科の重要な責務であり、令和5年は昨年度より42件増加し117件の要請に対応しました。加えて「これから容態が悪化しそうな患者さん」に対応するRRS(Rapid Response System)の件数は昨年度より109件増加し284件の要請がありました。RRSの増加によって院内ホットの減少が見込まれるのが理想ですが今後の事例検討、事後検証を行い更にハイレベルな医療安全の貢献に努めています。
令和5年度救命救急センター救急搬入数
当科総取り扱い件数 2146例
三次救急よる入室者数 1573例
入室平均年齢67.3歳
救命率71.6%
臨床指標
Clinical indicator
1.SAPS Ⅱ(Simplified Acute Physiology Score (SAPS) II calculator to predict hospital mortality)による予測死亡率と当院集中治療室での死亡率の比較
救命救急科は、一般的な入院患者に比較して重篤な患者が多く死亡率は高い。呼吸や循環、電解質の多くの問題に対してプロトコールに則った標準的な治療を行うことで死亡率を改善させる試みをしている。我々の集中管理の妥当性に関して、一般的に用いられる予測死亡率と実際の死亡率を比較した。
集中治療室での予測死亡率は種々あるが、主にヨーロッパで用いられる重症度スコアがSAPSⅡ scoreがある。血圧、意識レベルなどの生理学的な変数に年齢、入室形態(術後患者なのか、内科患者なのか)、基礎疾患の有無などを考慮したスコアリングシステムである。
入室24時間での最悪値を用いて、このスコアは算出される。
当科では集中治療室入室全患者のSAPSⅡを算出しており、このスコアから以下の式で予測死亡率が算出される* 。
※Crit Care Med. 1998 Nov…26 (11) :1793-800.
ICU入室患者総数 | SAPS Ⅱ score (Median (IQR) ) | SAPS Ⅱによる予測死亡率 (Median (IQR) ) | 全死亡数 | 粗死亡率 | |
2021年 | 136 | 36.0(25.0-52.0) | 18.0%(6.49-50.7) | 14 | 10.3% |
2020年 | 115 | 41 (28.0-59.3) | 24.7% (7.94-64.0) | 22 | 19.10% |
2019年 | 180 | 47 (33-62.0) | 39.2% (14.0-73.1) | 22 | 12.20% |
2018年 | 594 | 46 (30.3-63.0) | 37% (10.6-73.6) | 60 | 10.10% |
SAPS Ⅱ scoreから算出される予測死亡率と粗死亡率を比較すると、死亡率が低下していることから、集中治療室管理が適切に行われている可能性がある。加えて、JIPAD**(Japanese Intensivecare PAtient Database)の2022年の年次レポート(http://www.jsicm.org/jipad/)では、、ICU入室患者のSAPS Ⅱ scoreが29 (20, 41)であり、他の施設と比べても入室患者の重症度は低くなく、むしろ高い傾向がみられている。 このことから、当集中治療室での管理の妥当性が評価されたと思われる。
※日本集中治療学会が運営している日本の多施設ICUデータベースであり、主に大学病院や市中大病院のICUの治療成績や入室患者のデータを集計している。
救急外来
Clinical indicator
一般救急診療はいつでも対応します。
救急センター1階にて平日日中は内科総合診療科が、また、夜間休日は内科・外科・小児科・産婦人科・脳神経外科・整形外科の各科医師が診療しています。迅速的確な救急診療に努めていますが、より重傷で緊急度の高い方が診療や入院で優先されますので、状況によりお待ちいただく場合もあります。
どうか御理解・御協力いただきます様お願い致します。