消化器内科
診療科の紹介
常に最先端の医療技術・診断機器を取り入れて、あらゆるニーズに答えられる治療を行なっています。当院は東京都の肝疾患診療連携拠点病院に指定されており、多くの肝疾患患者さんを紹介いただいています。肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、肝がん、肝硬変合併症に対する新規治療薬の開発試験にも多く携わっています。肝臓移植も東京都内の医療機関と連携し積極的に行っています。
肝臓疾患においては、C型肝炎ウイルスの治療法は、新しい内服薬が登場したことで急速に進歩していますが、ウイルスのタイプ、過去の治療歴、他の疾患の合併や、それに対する治療薬の内服状況によって、最適な治療法が異なってきました。ウイルスのタイプを詳細に検討し、科学的な根拠をお示しし、十分納得していただいたうえで、ひとりひとりの患者さんに最も適した治療を受けていただいています。
B型肝炎の治療は、内服薬と注射薬の使い分けがポイントになります。
内服薬にも5種類があり、効果や副作用の特性が異なりますので、ひとりひとりの患者さんの状態に合わせて、最も適した治療を受けていただいています。B型肝炎ウイルスの排除をめざした新規治療薬の臨床治療を受託し行っています。
最近増加している非アルコール性脂肪肝炎の診断と治療にも力を入れています。MRIや超音波を用いて肝線維化を把握する機器を複数所有し (MRエラストグラフィー、VTTQ、ASQ、Fibroscan) 、生活習慣病の中に隠れている『ウイルスがいない肝硬変』の発見に努めています。非アルコール性脂肪肝炎に対する新規治療薬の臨床治療を受託し行っています。
再発がきわめて高頻度でおこる肝がんに対しては、ラジオ波焼灼術(RFA)やマイクロ波焼灼術(MWA)によって短期間の入院で確実に癌を死滅させることが可能になりました。最新型の治療装置と治療支援機器を導入し、安全で確実な治療を行っています。ラジオ波治療数の実績は都内でも有数であり、マスメディアでもデータが公表されています。再発に対しては、状態に応じてRFA、肝動脈化学塞栓術(TACE)、放射線療法、薬物療法などを組み合わせて集学的な治療を行い、初回RFA治療例の5年生存率が60%を上回り70%に近づいています。
高度に進行した肝がんに対しては、高精度放射線治療や免疫チェックポイント阻害薬・分子標的治療薬などによる薬物療法など、生活の質を保ちながら生存期間を延ばす治療をご本人・ご家族とよく相談しながら行っています。特に肝がんに対する薬物療法の進歩は著しく、新規分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬、あるいはこれらの組み合わせによる臨床治療を多く受託し行っています。また薬物療法と局所治療を組み合わせて薬物療法から開始した肝がんでも局所根治を達成し薬物療法中止(drug free)を目指した治療を行っています。医師のみならず看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士・ソーシャルワーカーなどチームでがん患者さんとご家族を支えて最良の治療を提供しています。
内視鏡センターではAIを導入し、最新の内視鏡システムで検査および治療を行っています。早期胃癌、大腸癌、食道癌に対しましては、内視鏡的粘膜下層剥離術によって開腹手術をしない治療が増えています。内視鏡治療が困難な症例に対しては、消化器外科との連携によりロボット手術や腹腔鏡下切除も検討し、患者さんの負担が少ない治療を取り入れて行っております。
日本消化器病学会認定施設、日本肝臓学会認定施設、日本内視鏡学会指導施設、日本超音波医学会専門医制度研修施設、日本内科学会教育病院に指定されており、消化器内科全般の診療に力を入れています。
地域医師会の先生方との連携を大切にして、日常の治療はお近くの診療所で行っていただき、専門的高度医療が必要な場合に病院で加療するという病診連携システムも整ってきました。最近は、われわれの病院で研修希望の専門医の医師が増加しており、意欲があり患者さんの皆様に親切な方の研修を受け入れています。地域に密着し、しかも高度先端医療を行うように今後とも努力していきたいと考えています。
炎症性腸疾患 (IBD) 専門外来開設 (月曜午後) については2011年7月より炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎・クローン病) 専門外来を開設しており、現在は2名のIBD常勤医師が専門的治療にあたっています。潰瘍性大腸炎とクローン病はこれまでは原因不明な腸疾患のため治療に苦慮することもありましたが、最近の研究の進歩により有効な治療法も多くなってきています。 コントロールの難しい患者さんや重症の患者さんに対しベストな診療を目指しています。 病気を治すことも1つの目標ですが、それ以上になるべく通常の生活、食事をしていただけるように努力しています。
炎症性腸疾患 (IBD) 専門外来開設
2011年7月より、月曜午後に炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎・クローン病) 専門外来を開設しました。潰瘍性大腸炎とクローン病はこれまでは原因不明な腸疾患のため治療に苦慮することもありましたが、最近の研究の進歩により有効な治療法も多くなってきています。
コントロールの難しい患者さんや重症の患者さんに対しベストな診療を目指しています。
病気を治すことも1つの目標ですが、それ以上になるべく通常の生活、食事をしていただけるように努力しています。
初診の方は、おかかりの医療機関の紹介状と受診日の事前予約が必要となります。
「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)などの遺伝性腫瘍についてご相談を希望される方は遺伝外来へ」スタッフ紹介
常勤医師数
19名
名誉院長:泉 並木 (いずみ なみき)
専門領域
- 消化器内科全般
- 特にB型・C型慢性肝炎の診断と治療
- 肝癌の診断とラジオ波焼灼療法、腹腔鏡
資格等
- 日本消化器病学会評議員・指導医
- 日本肝臓学会評議員・指導医・演題選定委員・広報担当委員
- 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
- 日本医師会認定産業医
- 日本肝癌研究会幹事
- 厚生労働省B型・C型肝炎治療標準化研究班委員
- 近畿大学医学部客員教授、 東京医科歯科大学臨床教授
- 山梨大学医学部非常勤講師
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
B型・C型慢性肝炎の新しい治療開発に取り組み、症例数は2,000例を超えています。 肝癌ラジオ波治療は1,500例以上施行し5年生存率70%です。1999年マイアミ大学に招聘されアメリカ第1例目の肝癌マイクロ波治療のライブデモを行いました。 日本肝臓学会市民公開講座や肝癌撲滅運動の東京都責任者であり、NHKきょうの健康はじめテレビで多数業績が紹介されています。 多くの若い先生が当科で研修され、医師会や患者さんから信頼される医療をめざしています。
院長/部長:黒崎 雅之 (くろさき まさゆき)
専門領域
- 消化器内科全般
- 肝炎、肝硬変の診断・治療
- 肝癌の診断・治療
資格等
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 日本肝臓学会認定肝臓専門医・指導医・評議員・理事
- 日本消化器病学会専門医・指導医・財団評議員
- 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・評議員
- 日本臨床腫瘍学会
- 日本肝癌研究会理事
- 厚生労働省肝炎等克服緊急対策研究事業・研究代表者
- 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員
- Bio Med Research International associate editor
- World Journal of Hepatology associate editor
- Hepatology Research editor in chief
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- 東京医科歯科大学医学部臨床教授
- 山梨大学医学部非常勤講師
- 東京医科大学兼任教授
内視鏡センター長を併任しており、消化器内科全般の診療に力を入れています。最先端の医療技術・診断機器を積極的に取り入れて、安全・確実な治療を行っています。最新の情報を取り入れ、科学的根拠に基づいた丁寧な診療を心がけ、また臨床研究活動にも力を入れています。 日本肝臓学会のガイドライン作成委員をつとめています。地域医師会の先生方との連携を大切にし、地域に密着した医療をめざします。
部長:中西 裕之 (なかにし ひろゆき)
専門領域
- 消化器内科全般
- 胃・食道・大腸 早期癌の内視鏡的治療
- 肝炎・肝硬変・肝がんの診断・治療
資格等
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員
- 日本肝臓学会認定肝臓専門医・指導医・評議員
- 日本消化器病学会認定消化器病専門医・指導医・評議員
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- 日本がん治療認定機構がん治療認定医
- 東京医科歯科大学医学部臨床教授
消化器内科全般の診療を行っております。大腸・胃・食道・十二指腸の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を2,000件以上施行しております。消化管、肝胆膵の診断、治療技術及び知見の涵養に努め、地域の皆様へ安全、確実な医療を提供できるよう心がけております。
部長:土谷 薫 (つちや かおる)
資格等
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 日本肝臓学会認定肝臓専門医・指導医・学会評議員
- 日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員
- 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
- 日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医・代議員
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- 肝癌診療ガイドライン作成委員
患者さまそれぞれに最適な治療を提供し高い生活の質を保って過ごして頂くことが目標です。様々な職種の医療従事者(看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士・メディカルソーシャルワーカーなど)と団結して治療を行っています。がんゲノム検査・臨床試験などにも積極的に取り組んでおり最新の治療を提供できる体制を保ち地域医療(救急疾患含む)に貢献できる診療科を目指しています。
副部長:髙橋 有香 (たかはし ゆか)
専門領域
- 消化器一般
- 肝臓疾患
資格等
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 日本肝臓学会認定肝臓専門医
- 日本消化器病学会専門医・指導医
- 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
- 日本消化器がん検診学会消化器がん検診総合認定医
- 日本医師会認定産業医
- 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
- 日本肝臓学会東部会評議員
- 日本人間ドッグ学会認定医・専門医・指導医
- 人間ドッグ健診情報管理指導士(人間ドッグアドバイザー)
- 日本人間ドック学会遺伝学的検査アドバイザー
- ヘルスケアインフォメーションディレクター
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
肝臓を主体とした消化器全般が専門ですが、以前より女性外来も手がけてきました。現在、健診部で健診業務も行っており、生活習慣病に基づく肝機能障害など、健診後の経過観察を要する方の外来もやっています。 わかりやすく、女性の方も安心して受診して頂けるような外来診療を心がけています。
副部長:安井 豊 (やすい ゆたか)
資格等
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 日本肝臓学会認定肝臓専門医・指導医・東部会評議員
- 日本消化器病学会専門医・指導医・関東支部評議員
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本超音波医学会専門医・指導医・代議員
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
患者さんやご家族が安心して治療に臨めるよう、丁寧に説明することを第一に心掛けています。肝臓を中心とした消化器病全般を担当しており、特にがん治療に中心的に携わっております。また、院外からご紹介いただいたがん遺伝子パネル検査の初診を担当しており、地域のがん医療の質を高められるよう尽力いたします。
副部長:玉城 信治 (たまき のぶはる)
専門領域
- 消化器・肝臓
資格等
- 日本内科学会総合内科専門医・認定医
- 日本消化器病学会消化器病専門医・指導医・関東支部会評議員・学会評議員
- 日本肝臓学会認定肝臓専門医・指導医・東部会評議員
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:前屋舗 千明 (まえやしき ちあき)
専門領域
- 消化器内科全般
- 炎症性腸疾患
資格等
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本肝臓学会肝臓専門医
- 日本消化器病学会消化器病専門医・指導医・関東支部会評議員
- 日本肝臓学会認定肝臓専門医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:田中 将平 (たなか しょうへい)
専門領域
- 消化管
資格等
- 日本内科学会認定内科医
- 日本消化器病学会認定消化器病専門医
- 日本肝臓学会認定肝臓専門医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:髙浦 健太 (たかうら けんた)
資格等
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:樋口 麻友 (ひぐち まゆ)
資格等
- 日本消化器病学会認定消化器病専門医
- 日本内科学会認定内科医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本肝臓学会認定肝臓専門医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:岡田 理沙 (おかだ りさ)
専門領域
- 消化器内科
資格等
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:慶德 大誠 (けいとく たいせい)
専門領域
- 消化器内科
資格等
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本消化器病学会認定消化器病専門医
- 日本肝臓学会肝臓専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:宮本 遥 (みやもと はるか)
専門領域
- 消化器内科
資格等
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:八木田 純子 (やぎた じゅんこ)
専門領域
- 消化器内科
医師:田中 雄紀 (たなか ゆうき)
資格等
- JMECC修了
- ICLSコース修了
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:木村 晶平 (きむら しょうへい)
専門領域
- 消化器内科
資格
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:内原 直樹 (うちはら なおき)
資格
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:德永 悠月 (とくなが ゆづき)
専門領域
- 消化器内科
資格
- がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
医師:山﨑 雄大 (やまざき ゆうだい)
資格
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:田口 美奈 (たぐち みな)
医師 (非常勤):藤井 俊光 (ふじい としみつ)
資格等
- 日本内科学会認定内科医
- 日本消化器病学会認定消化器病専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
可能な検査・治療・器械について
検査
- B型肝炎ウイルス検査 (HBV genotypeを含む) 、C型肝炎ウイルス検査 (HCV genotype、 NS3/NS5遺伝子変異を含む)
- 腹腔鏡検査・肝生検
- MDCT (マルチスライス高速CTスキャン)
- MRI (MRエラストグラフィによる肝線維化測定・MRIによる脂肪化測定、Gd-EOB-DTPA MRI、MRCP等)
- 内視鏡 (上部消化管拡大内視鏡、大腸拡大内視鏡) 、内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP)
- 超音波内視鏡 (消化管EUS-FNA)
- 腹部超音波 (肝線維化測定ASQ、VTTQ、Fibroscan) 、造影超音波 (Sonazoid)
- カプセル内視鏡
- 近赤外線光トポグラフィ (肝硬変における脳機能検査)
- BIA法による身体測定 (InBody 720)
治療
肝臓疾患
B型慢性肝炎 | エンテカビル、アデホビル、テノホビル、TAF、ペグインターフェロン・シークエンシャル療法、新規薬剤の開発試験 |
C型慢性肝炎 | ソホスブビル・リバビリン併用療法、ダクラタスビル/アスナプレビル/ベクラブビル併用療法、シメプレビル・リバビリン・PEGインターフェロン併用療法、レディパスビル/ソフォスブビル配合剤、パリタプレビル/オムビタスビル配合剤、エルバスビル・グラゾプレビル併用療法、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合剤、新規薬剤の開発試験 |
非アルコール性脂肪肝炎 | MRエラストグラフィー、VTTQ、Fibroscan、新規薬剤の開発試験 |
その他肝疾患 | 急性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎など多数 |
肝癌
ラジオ波焼灼術 (RFA) | 経皮的RFAおよび腹腔鏡下RFA、fusion imaging併用、Cool tip RF system、Bipolar RF system、 VIVA RF system |
肝動脈塞栓術 (TAE) | 全例corn beam CT・3D navigation下TACE施行. Conventional TACEおよびdrug eluting beads (DEB) -TACE、バルーン閉塞下TACEなど |
化学療法 | Sorafenib、Regorafenib、Lenvatinib、新規薬剤の開発試験 多数 |
リザーバー肝動注化学療法 | |
放射線治療 (定位照射) | |
その他 |
胆道・膵臓疾患
内視鏡的逆行性胆管膵管造影法 (ERCP) ; | 内視鏡的十二指腸乳頭バルーン拡張術 (EPBD) 、内視鏡的十二指腸乳頭ラージバルーン拡張術 (EPLBD) 、内視鏡的機械的砕石術 (EML) |
内視鏡的胆道ドレナージ術 | 経鼻胆管ドレナージチューブ留置、チューブステント留置、メタリックステント留置術 |
経皮的胆道ドレナージ (PTCD) | カテーテル留置術、メタリックステント留置術、他 |
その他IVR処置 |
早期胃癌・早期食道癌
内視鏡的粘膜下層剥離手術 (ESD) | IT knife2、 Flex knife、 Hook knife、 Dual knife、 S-B Jr常備、 高周波装置VIO300D 3台、 内視鏡用送水ポンプOFP2、 ウォータープリーズAF-WP1、 GIFQ260J、 Multivending scope (GIF TYPE 2TQ260M) 、 GIFH290 (拡大NBI) |
内視鏡的粘膜切除術(EMR) | 高周波装置VIO300D 3台、 内視鏡用送水ポンプOFP2、 ウォータープリーズAF-WP1、 GIFQ260J、 Multivending scope (GIF TYPE 2TQ260M) 常備、 GIFH290 (拡大NBI) |
食道胃静脈瘤
内視鏡的硬化療法 (EIS) | |
内視鏡的結紮療法 (EVL) | |
BRTO | |
アルゴンプラズマレーザー | VIO300D APC 2 2台 |
早期大腸癌
内視鏡的粘膜切除術(EMR) | 高周波装置VIO300D 3台、 内視鏡用送水ポンプOFP2、 ウォータープリーズAF-WP1、 各種scope (全室拡大NBI可) |
内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) | Dual knife、 S-B Jr、 Hook knife、 IT knife nano常備、 高周波装置VIO300D 3台、 内視鏡用送水ポンプOFP2、 ウォータープリーズAF-WP1、 各種scope (全室拡大NBI可) |
その他消化管疾患治療
内視鏡的胃瘻造設術 (PEG) | Introducer変法 |
出血性胃・十二指腸潰瘍クリップ止血術 | |
アルゴンプラズマレーザーによる止血術 | VIO300D APC 2 2台 |
ヘリコバクターピロリ除菌治療 | |
胃癌・大腸癌・食道癌・胆道系癌などの化学療法 | 腫瘍内科と連携 |
診断・治療機器
- ファイリングシステム Nexus (内視鏡) 、 診断情報システムPrimeVita (腹部エコー) 、 GE医療画像ネットワークシステム (放射線) 、 3次元画像解析システムボリュームアナライザー SYNAPSE VINCENT
- 内視鏡室: 5 室 (上下部4室、X線透視室1 室、オリンパスと包括リース契約)
- 内視鏡光源 EVIS X1システム:5セット、内視鏡用炭酸ガス送気装置 UCR:4 台、内視鏡用送水ポンプ OFP-2:3台 、内視鏡用超音波観測装置 EU-ME II:2 台
- 上部内視鏡:スコープ:GIF-XZ1200 1本、GIF-H290Z:12 本 (ほぼ全検査で拡大観察可能) 、GIF-H290EC 1本(500倍超拡大スコープ)、GIF-H290T:2 本、GIF-2TQ260M:1 本、GIF-XP290N (経鼻) :1 本
- 下部内視鏡:スコープ:CF-XZ1200 I 1本、PCF-H290ZI 5本、CF-HQ290ZI 1本、PCF-PQ260L 1本 、PCF-H290 TI 2本、PCF-H290ZL 1本
- 十二指腸用:3本 TJF-Q290V 1本、JF-260V:2 本
- カプセル内視鏡 PilcamSB、 (データレコーダー、RAPID ワークステーション)
- 内視鏡洗浄機 OER-5:5 台
- 回復室用ストレッチャー5台、 リクライニングシート2脚
- 腹部超音波室: 5 室 東芝 Aplio 50:1 台、 Aplio XG:1 台、Aplio 500 (smartfusion 搭載、 ASQ; acoustic structure quantification搭載) :1 台、 ALOKA Prosoundα10:1 台、日立 Preirus (RVS搭載) :1 台 GE LOGIQ E9 (V-navi 搭載) :1 台
- RFAシステム;Cool Tip RF generator Covidien 1台およびRadionics 1台、 Celon Poewr (Olympus) 1台、 RITA Model 1500 1台
- 腹腔鏡; VISERA ELITE、 ENDOEYE FLEX先端湾曲ビデオスコープLTF-S190-5 3本、Sector型腹腔鏡超音波プローブ 2本、 Linear型腹腔鏡超音波プローブ 1本
- 血管造影室: 3 室 (共用; Philips Allura Clarity FD20、 Corn beam CT、 3D Navigation system; Embo Guide搭載、 他)
- MDCT 3台 、 1.5T MRI 2台 (MRエラストグラフィ搭載;肝線維化測定)
- InBody 770 (BIA法による筋肉量評価、Sarcopenia対策、栄養指導)
- 近赤外線光トポグラフィ (日立ETG4000; 脳機能評価; 肝硬変患者さん用)
診療実績
C型慢性肝炎
- C型慢性肝炎に対する治療法は、ウイルスの増殖を直接阻害する新規抗ウイルス薬が登場したことで大きく進歩しました。
- 従来のインターフェロン治療は全体で約3000例、ペグインターフェロン、リバビリン併用治療は約900例の経験があり、ゲノタイプ1型では約50%、ゲノタイプ 2a型・2b型では約80%のウイルス駆除率でした。
- ゲノタイプ1型では、ペグインターフェロン、リバビリンと併用する新規抗ウイルス薬 (テラプレビル、シメプレビル、バニプレビル) の3剤併用療法を約170例に行ない、ウイルス駆除率は、初回治療 (初めてインターフェロン治療を受けた方) と前治療再燃 (以前のインターフェロン治療で一過性にウイルスが陰性化した方) では約90%、前治療無効 (以前のインターフェロン治療でウイルス が陰性化しなかった方) では約50%でした。特に初回治療と前治療再燃の患者さんでは、インターフェロンが効きやすい体質 (IL28B遺伝子TT型) で 24週間の治療を完遂できれば、ウイルス駆除率は100%でした。したがって、この治療は、IL28B遺伝子を測定し効果を予測したうえで行ないます。
- インターフェロンやリバビリンを使用しない内服薬だけの治療が続々と登場しています。2014年に登場したダクラタスビル・アスナプレビル併用療法は、治療開始前に薬剤耐性ウイルスが存在すると治療効果が悪く、また治療が不成功になると多剤耐性のウイルスが出現することが分かっていましたので、当院では全例で検査を行い、薬剤耐性ウイルスがない患者さんだけを治療対象としましたところ、治療成功率は約95%でした。 このように、患者さんの体質、ウイルスの遺伝子の両面を最先端の方法で評価し、治療効果を予測したうえで最適な治療法を選択しています。
- ゲノタイプ1型では、さらに新しいレディパスビル/ソフォスブビル配合剤、パリタプレビル/オムビタスビル配合剤、エルバスビル・グラゾプレビル併用療法、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合剤、ベルパタスビル/ソフォスブビル配合剤が登場し、現在700例超で治療を開始しました。いずれの薬剤も、適切に選択すれば95%以上の患者さんでウイルス排除に成功する薬剤です。薬剤耐性ウイルスの有無、過去の治療歴、他の疾患の合併や、それに対する治療薬の内服状況によって、最適な治療法が異なるため、薬剤師の協力のもと、ひとりひとりの患者さんに最も適した治療を選択しています。現時点でのウイルス排除成功率は99%です。
- ゲノタイプ 2型には、ソホスブビル・リバビリン併用療法、パリタプレビル/オムビタスビル配合剤、グレカプレビル/ピブレンタスビル配合剤が登場し、現在200例超で治療を開始し、ウイルス排除成功率は96%です。
- 肝機能が悪い非代償性肝硬変に対するベルパタスビル/ソフォスブビル配合剤による治療も開始しています。
- 過去にインターフェロンやリバビリンを使用しない内服薬治療を受け、不成功であった患者さんについては薬剤耐性変異を測定し、適切な薬剤を選択します。
- 今後も、新しい治療薬の登場が予定されているため、一人一人の患者さんについて、現時点での治療の必要性、現在の治療薬での効果、将来の薬剤の効果の展望などを総合的に判断して、治療法を選択しています。
肝臓がん
- 肝がんは早期発見すれば局所根治が可能です。そのため、早期発見のための画像診断に力を入れています。超音波検査、造影CT検査を基軸として肝腫瘍を早期発見し、加えて造影超音波検査と造影MRI検査を行うことで肝腫瘍の質的診断や、生物学的悪性度診断をおこない総合的な画像診断を行っています。
- ラジオ波治療が困難な症例でも、最近開発された新規塞栓物質を用いた肝動脈塞栓治療は先端機器を駆使して放射線科専門医が行っています。高度進行肝がんには、免疫チェックポイント阻害薬などの薬物療法、定位放射線療法、リザ—バー動注化学療法をふくめ、肝がんに対するすべての標準治療を駆使した、集学的な治療を追及しています。免疫複合療法であるアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法は2020年9月の保険適用からこれまでに151例の使用経験があり、分子標的治療薬としてはレンバニチブやカボザンチニブなどの薬剤を積極的に導入しています。
- 切除不能と初回診断時に判断された患者さんでも薬物療法や薬物療法で腫瘍が縮小すれば肝切除やTACEなどで臨床的根治を目指し最終的には薬物を中止(drug free)し元気で長生きしていただくことを目指します。
B型慢性肝炎
- B 型肝炎の治療薬には、内服薬の核酸アナログが5種類と、注射薬のペグインターフェロンがあります。B型肝炎の病態は複雑で、治療の必要がない非活動性キャリアから、早急に治療が必要な活動性の肝炎や肝硬変など多彩であり、また一人の患者さんにおいても病状は刻々と変化します。したがって、現在の肝臓病の状態、治療の必要性、病状やライフスタイルにあった治療薬を見極めて、最適な治療法を選択しています。
- 現在まで、核酸アナログによる内服治療を730例、インターフェロン治療を160例に行っています。核酸アナログによる治療は、一般的には期間を決めず長期間飲み続ける必要があります。当院では、核酸アナログ内服治療を長期間行なった方を対象として、注射薬であるペグインターフェロン治療を効果的に組み合わせるシークエンシャル治療も27例に行ない、すでに ウイルスが消失し内服薬を中止できた患者さんもいます。
- テノホビルは薬剤耐性ウイルスの出現率が極めて低く、B型肝炎ウイルスの消失を意味するHBs抗原の陰性化が得られやすい特徴のある薬剤ですが、2種類の薬剤があります。2014年に保険適応となったTDF (テノゼット®) と2017年に保険適応となったTAF (ベムリディ®) です。TDFは妊婦に対する安全性が高いことから、妊娠を希望する患者さん、妊娠中の患者さんでも治療が可能になりました。また、他の核酸アナログ内服で効果が不十分でもTDFを併用する、あるいはTAFに切り替えることでウイルスの陰性化が高率に達成できるようになりました。さらに、TAF治療では腎障害や骨粗鬆症などの副作用が少ないこともわかっており、このような薬剤の特性を生かした治療を行っています。
- 核酸アナログはウイルスの増殖を抑える作用は極めて高いものの、ウイルスの完全排除が得られる確率は低いのが現状です。これを克服する新規薬剤の開発試験が行われており、当院も参加しています。
内視鏡治療
- 内視鏡治療は高難度処置が増え、施設における診療体制・指導体制の充実が安全な医療を提供し続ける上で重要です。当院消化器内科における内視鏡診療・指導体制は、学術評議員2名が常勤し、院内で内視鏡指導医を育成可能 (学術評議員以上で2名必要) な質を確保しています。内視鏡医は内視鏡指導医5名、内視鏡専門医8名、その他医師も全て内視鏡学会員の医師で治療にあたっています。看護師も内視鏡技師資格取得者が増加しており、真摯な姿勢で診療にあたっております。スコープの洗浄は最新の洗浄機と専属の洗浄員を複数名配置し、安心して治療を受けられる体制をとっております。3次救急にも対応するため、内視鏡室5室の他に、初療室にも内視鏡を常備しており、救急搬送時に即時対応できる体制をとっております。
- 食道、胃、大腸の腫瘍の診断は全室拡大NBIによる評価が可能であり、治療は侵襲が少ない内視鏡治療 (内視鏡的消化管粘膜下層剥離術) の実績を積み重ねております。昨年は内視鏡的消化管粘膜下層剥離術は上部95件、下部84件で、内視鏡的消化管粘膜下層剥離術は2000件以上になりました。胃内視鏡的粘膜下層剥離術の治療成績は過去10年偶発症による緊急手術例なし、過去2年一括切除率100%を達成しております。独自の術後出血予防策により胃内視鏡的粘膜下層剥離術後の出血頻度が極めて低いのも当科の特徴です。
- その他、総胆管結石などのERCP関連手技は474件、食道胃静脈瘤治療72件など、多岐にわたる内視鏡処置に対応しております。
診療実績
- 2023年度、初診紹介患者数2,876名と多くの患者を紹介いただいた。逆紹介患者数は2,938名、退院患者数は2,588名、平均在院日数は9.7日であった。
- 肝がん治療件数は341例 (累積7300件超) で、うち肝動脈塞栓化学療法は121例 (累積3548件) 、ラジオ波焼灼術は140例 (累積3435件) 、進行肝がんに対する分子標的薬導入例は67例 (2009年導入時からの累積350例) 、動注化学療法 3例、放射線治療10例であった
- ウイルス性肝炎に対する治療導入はC型肝炎が211例、B型肝炎が107例であった。
- 上部内視鏡検査は5213件で、処置内視鏡は内視鏡的止血術148件、上部内視鏡的粘膜下層剥離術95件、異物除去15件、食道胃静脈瘤治療72件、胆膵疾患のERCP関連手技は474件、総胆管結石切石術143件であった。下部内視鏡検査は2799件で、大腸ポリープ切除は849件、大腸内視鏡的粘膜下層剥離術は84件、内視鏡的止血術78件であった。
臨床指標
胃ESDの断端陰性切除率
早期胃がん等の内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) の治療成績をQuality indicatorとしました。
断端陰性切除を達成するためには、正確な深達度および側方進展度診断と、安全確実なESD技術が必要になります。近年の胃ESDの断端陰性切除率は98%以上です。
肝癌RFAの治療完遂に要した平均session数
肝細胞癌のラジオ波焼灼術 (RFA) の治療精度をQuality indicatorとしました。 当科はRFAの技術および処置具の改良を重ね、2 step and multi-puncture methodを開発しました。更に、造影超音波やfusion imagingなど治療支援システムも進歩しています。アプローチ法も経皮的RFA以外に腹腔鏡下RFAの施行も可能です。電極針はmonopolarのほかにbipolarも選択可能です。これらにより、標的病変を1回の治療で完全焼灼 (根治) できる可能性が高くなります。近年の治療完遂に要した平均session数は1台で推移しています。
2013年度 | 2014年度 | 2015年度 | |
胃ESDの断端陰性切除率 | 98.70% | 93.60% | 98.90% |
肝癌RFAの治療完遂に要した平均session数 | 1.11 | 1.07 | 1.06 |